『今、なぜ木の時代なのか・・・その可能性と課題を探る』 | 株式会社 カドヤ建設

BLOGBLOG

2017.04.22

『今、なぜ木の時代なのか・・・その可能性と課題を探る』

先日、我社が加盟しています『新住宅』の全体会議に出席いたしました。

全体会議と言っても実際は、情報交換会や講演会を行います。

加盟業者による新しい取り組みの紹介や世に埋もれている小さな企業の開発したすばらしい材料などが紹介されます。

その他毎回建築に関する題材をその研究の専門家を呼んで講演するのですが、今回は東京大学名誉教授の安藤直人先生でした。先生は合板博物館館長でもあり、林野庁を中心に活動を行っている『木づかい運動』にも参加されている木材の専門家です。

今回の題は『今、なぜ木の時代なのか・・・その可能性と課題を探る』

講演の中で見えて来たのは

①戦後木材不足の折に植林ブームとなりそのとき植えた木が70年経ち伐採の時期が来ているが、輸入材に頼ることが常習化している現在、国内材を利用しなくなっている。その結果林業が廃れ、森に人間の手が入らなくなったことで森が荒廃し、もともと林業で人が利用する為に植えられた木であるはずなのに利用しなくなっている為、間伐も行われることの無い森が増えている。したがって、日本の木を使用することは日本の森を守ると同時に海外の森を守ることになる。

②CO2削減が騒がれている昨今、森林はCO2の貯蔵庫といわれCO2をどんどん吸収しながら成長、そして、収穫されて、住宅や家具などの木製品に加工されても、貯蔵庫としての機能は変わりません。育ち盛りの若い木々は二酸化炭素をよく吸収しますが、成熟して成長がおとろえた木々はあまり吸収しなくなります。したがって、成熟した木々を収穫し住宅を建てれば、森林と同じような貯蔵庫が都市にもできるのでCO2削減にも貢献出来る。

以上のことから国内材の利用を広めなければ成らないし、国の方針も森林伐採を抑制する政策から利用する政策に変わり、公共建築物にも木造で建築する機会が増えていることを見ても明らかです。現在建築中で隈健吾氏設計の国立競技場も競技設計の課題の中に国産木材を取り入れる内容が有ったとのことです。それであのような設計になったことが今回理解できました。しかし、オリンピック等の国際施設には、国際基準によって認証された森から切り出した木を使用する必要が在るそうですが、日本の森林の認証率は7%(オーストリア76%)でしかなく、国立競技場の木材を国産で賄うことが難しい状態であることも始めて知りました。では認証基準とは何か、簡単に説明すると、環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われて、持続可能性に配慮している森林ということになりますが、林業が廃れてしまい、意識も薄い日本では、世界から立ち遅れてしまっているということだと思います。

カドヤ建設では、鉄筋コンクリート、鉄骨造も扱いますが、法律的制約が無い限り、上記の理由に関わらず住居には木造をお勧めしています。出来れば木を表し(あらわし)にして、住い手の心にゆとりの出来るような設計を心がけます。

以前にも紹介いたしましたが、木造の家は決して地震に弱くありません。構造計画において既設の鉄筋コンクリート造や鉄骨造よりも強くすることが可能です。さらに免震構造や制震構造の導入により強固な構造設計が可能で、下の画像のように、現在では地震や津波にも耐える建物を建築することも可能です。

又、木造建築は火災に決して弱いとはいえません。耐火被服の無い鉄骨造に比べれば木の方が強いほどです。

ご覧のように、鉄は高熱になると飴のように柔らかくなり変形いたしますが、木材は炭が断熱材となり内部に火がはいるまで時間が掛かります。一般的な誤解があるのですが、火災でよく燃えるのはインテリア素材であるカーテンや家具が大半を占めますので、鉄骨であろうが木造であろうがその辺は変わりありません。現在は木造で耐火建築物の建物を作ることが可能であり、公共建築物やガソリンスタンドにも木造が使われるようになっています。

このように木造の建物は安全性は問題ありません。一部の鉄骨系のハウスメーカーが震災後の老朽化した建物の被災した画像を取り上げ、広報しているために誤解されているに過ぎません。

建築をお考えの皆さん、地球環境のため、心身の健康のため木造を見直してください。

BY野口

 

share