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銘木(年輪の不思議)について
銘木は主に内装に使用され、和・洋にかかわらづ、天然の美しさを部屋の造作材として、又、アクセントとして使用する木材のことです。
建築では『杢』(もく)又は『杢目』(もくめ)と呼びます。
樹種の如何は問いませんが、自然が作り出した年輪の美しさ、木の色合いが心を和ませます。
ここで幾つか年輪の美しさをご紹介したいと思います。
笹杢(ささもく):杉材に良く現れる笹の葉が折り重なったような先の尖ったギサギサ模様で和室の天井や障子の腰板に使用されます。
玉杢(たまもく):ケヤキの樹木のこぶをスライスすると同心円が幾重にも描かれ大柄に広がる華やかなものと、小さい玉が点々と散らばる上品なものがあります。主に床の間の床や家具に使用されます。
泡杢(あわもく):比較的小さな円形の模様が散らばって現れるもので、水中に浮かび上がってくる粟粒に似ているところから呼ばれます。やはりケヤキに良く現れます。
鳥目杢(ちょうがんもく):鳥の目のような濃い色の中心部と同心円が複数連なる杢でメープル(楓)が有名です。
孔雀杢(くじゃくもく):黒柿に限定して現れる杢で、白と黒の部分が絶妙に入り交じったものです。黒柿の中では最高級とされ万年筆の本体にも使用されます。
その他、鶉杢(うずらもく)、葡萄杢(ぶどうもく)、縮杢(ちじみもく)、鯖杢(さばもく)、絵巻杢(えまきもく)、縞杢(しまもく)等様々な『杢目(もくめ)』が存在します。
装飾性が高いことから、和風建築の各所に用いられたり、挽物や指物、楽器の素材として古くから利用されました。
どれ一つとして同じものが存在しない銘木の世界では、杢の名前は主観的なもので客観的基準があるわけではありません。
ある人が「これは泡杢だ」といっても別の人が「いや玉杢だ」ということがあります。
したがって、杢名は銘木を愉しむ人のための便宜的な呼び名と考えていただいた方がよいでしょう。
観光で何気なく見ている神社・仏閣ですが、建物の中にも数々の銘木を使っている可能性があります。
この銘木を鑑賞するということも旅の一項目に加えては如何でしょうか。
古い時代の日本人が如何に粋で感受性豊かな暮らしをしていたのかを実感できると思います。
現代人の私たちも見習いたいものです。
BY野口