杉の木の話 | 株式会社 カドヤ建設

BLOGBLOG

2015.04.30

杉の木の話

学名:Cryptomeria japonica(スギ亜科スギ属)

‘japonica’ つまり、日本の杉は日本固有種。
杉の仲間でアメリカ大陸のセコイア 、中国のメタセコイアは学術的にはスギ科メタセコイア属となり日本のスギの親戚というところです。
この話だけでもスギに対し日本人として親近感が沸いてきませんか。
日本書紀を紐解けば、スサノオの尊が、木のない日本の山を嘆き、自分のひげを抜いて山に投げるとすくすくとのびて、杉の木になり、胸の毛は檜になったそうです。又スサノオは、その木の使い方を人々に教えました。

杉は船。
檜はお宮。
杉が昔から舟に使われてきた理由として、軽くて加工が容易で川舟が多い日本では軽量化する必要があった為といわれています。又、日本全国に分布する杉材は入手しやすい点が上げられます。日本人に馴染みの深い日本酒、樽酒の樽の材料にも使います。あの樽酒の香りは実は杉の香りなんですね。

そして、何よりも、やはり一番利用されるのは建材としてでしょう。

吉野杉や秋田杉など中には檜材より高価な材料もたくさんあります。
柱はもとより、最高級の障子は杉が使われますし、高級な天井材は杉が一般的です。

材質は柔らかいので傷が付きやすく、床材には不向きと思われがちですが、杉の『うずくり仕上』は床材で利用されます。

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保温・断熱性が高く、真冬でも素足で歩いても冷たさを感じることがありません。木目の凹凸が足裏に作用しマッサージ効果も期待できます。
しかも、スギには強い森林浴効果があります。爽やかさが心にバランスと静けさを与えてくれます。
身体をリラックスさせ、鎮静させる作用に優れています。血圧が下がり、呼吸が深くゆっくりになると言われています。
そして安眠効果にもつながりますし、抗菌や防虫作用に優れていています。
杉に限らず、木材に反射した光はとてもやさしく感じます。それは、木の表面にあるミクロの凹凸がひかりを分散し、光を柔らかくしてくれるからです。
室内で50~60%が最適と言われる光の反射率は木材の反射率とほぼ一致している為、強い刺激を与えず、目に優しく快適です。

現在日本に数多く存在する日本固有の杉ですが、輸入材のコストに押されて使用されず、国内の林業の危機となっています。
ご存じないと思いますが、日本国土の森林に対する割合である森林率は世界1となっていますが、木材需給率は非常に低く木材の多くは輸入に頼っています。
森林は適度の伐採と適度な植林を必要とします。林業は100年~200年単位で計画的に運営されて来ました。現在我々が利用している国内材は100年前の人たちが植林したものです。この財産を未来につなげていく為にも正しい木材の利用を考えていく必要があると思います。

現在、国や地方団体の方でこの危機的状況を踏まえ、国内材の需要を活性化すべく、国内材を利用した住宅に対し補助金を支給する等、やっと対策に乗り出したところです。
今年度も長期優良住宅仕様+国内産木材で120万円の補助金が出ることとなりました。
当初、新建材や輸入材より多少コスト的には高めになるかもしれませんが、健康や建物の耐久性を考えた時、ライフサイクルコスト(建物に対する一生涯に掛かる費用)は安くなります。
つまり、長い目でコストを考えた時、非常にお得であるということです。
是非、お試しあれ!

BY野口

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